『今宵、フィッツジェラルド劇場で』A Prairie Home Companion・・・悲劇ではない

劇中、老シンガーの突然の死に際して「老人が死ぬのは悲劇ではないのよ」と天使が囁くシーンがあるのだが、まるでアルトマン監督が自分の為に用意したようなセリフだ。本作はロバート・アルトマンの遺作である。
遺作とは、期せずして「遺作」になってしまうことのほうが多い。不本意なものもあるだろうし、未完のままのものもあるだろう。美しく辞世の句が詠めるものではないのだ。映画はそれだけ時間がかかる。
アルトマンは2006年11月20日、惜しまれつつこの世を去った。数年前からガンを告知されていたアルトマンが「遺作」と意識したかどうかは別にしても、この映画のテーマは「死」であり、「再生」でもある。
死を迎えるのはフィッツジェラルド劇場で公開放送されている「プレイリー・ホーム・コンパニオン」というカントリーミュージックのラジオ番組だ。「老劇場」で公開されている「老ラジオショウ」の「死」なのだ。

この「プレイリー・ホーム・コンパニオン」は実在し、実際は終焉を迎えることもなく今も続いているという。番組の名物司会者ギャリソン・キーラー本人が企画を持ち込み、脚本を書き、本人の役で出演もしている。

映画の中では、30数年続いた公開ラジオショウがついに最終回を迎えることになる。様々な思いを胸にステージに立つ出演者それぞれの思い。アルトマンならではのユーモアに、シニカルさを交え、軽妙な語り口で綴られていく。
アルトマンといえば「群像劇」なので、いつもは人物関係や配置を確認しながら追っていくのだが、本作は登場人物も多くなく、シンプルでわかりやすい構図になっている。

ショウの場面は吹き替えなしだという。
名女優メリル・ストリープ・・・その娘役のアイドル女優リンジー・ローハン・・・あんなに歌が上手かったんだ。
アメリカショウビズ界のなんと奥の深いことよ。
大きく賞賛。

ステージ上とバックステージがリアルタイムで進行していく。
映画の観客は、ステージのショウを楽しみながら、歌っている人々、支えている人々、そんな多くの人の意識を受け止める。
そして迎えるいくつかの「死」。
アルトマンの「遺作」であるという思いも重なって「淡々」とした描き方ながらも涙が落ちてくる。

そしてこのまま終焉を迎えるのかと思いきや、ラスト数分・・・美しく逞しい「再生」の予感が更に大きな感動を生むのだ。

私とアルトマン作品との出会いは高校時代『M★A★S★H』を見たことに始まる。監督の名前を意識し(主演のエリオット・グールドも)、大学の時に『ナッシュビル』を見て、アメリカ映画はハリウッドだけじゃないんだと認識した。
それ以降、反逆、反骨の人「ロバート・アルトマン」を信奉してきた。オールタイムベストで好きな監督を5人挙げるとしたら、その時の気分や印象で人は入れ替わる。それでもアルトマンは必ず入っている、そんな監督だ。他に代わる人がいない唯一無二。

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監督:ロバート・アルトマン
出演:ウディ・ハレルソントミー・リー・ジョーンズ、ギャリソン・キーラー(原案 /脚本 /出演)、ケヴィン・クラインリンジー・ローハンヴァージニア・マドセンメリル・ストリープリリー・トムリン
銀座テアトルシネマ

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この記事へのコメント

ルイヴィトン バッグ
2013年07月22日 00:13
こんにちは、またブログ覗かせていただきました。また、遊びに来ま~す。よろしくお願いします ルイヴィトン バッグ http://www.kfsmtv.net/Vuitton/

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